成人男性の頭部の毛が薄くなりハゲ上がる現象は、世界共通で古い歴史を見ても絵画として薄毛の男性が描かれている事が多いですよね。しかし、それに対しての医学的な治療法は当時なされておらず、対処法として「カツラ」が使われていました。
1世代前は、薄毛を隠す為の『目立たないカツラ』があらゆる方向で研究され売られていたように感じます。しかし、最近ではどうでしょう・・・。いつからか、AGA(男性型脱毛症)と言う言葉が世間に広まり、『薄毛は治療で、自分の毛を取り戻せる』と言う認識に変わってきています。
ここ数年で、AGA(男性型脱毛症)の情報が色々と出回り、簡単にセルフチェックが出来るようになりました。確かに、成人男性の薄毛に悩んでいる人の90%はAGA(男性型脱毛症)だと言われており、セルフチェックもさほど難しいものではないのですが・・・私は間違った自己判断で、薄毛を悪化させる人が増えるのではないかと心配しています。
本ページでは、AGA(男性型脱毛症)のセルフチェックの4つの注意点と、正しいAGA(男性型脱毛症)セルフチェック項目をご紹介します。
【もくじ】
AGA(男性型脱毛症)治療が世間に広まってきたのはいつ頃?
AGA(男性型脱毛症)の治療法が生まれた経緯をサクッとお話しすると、1992年にアメリカで前立腺治療の為に研究されていた薬を飲んだ患者の髪の毛が濃くなってきている事から始まります。これは、本来の目的以外の作用・・・つまりは、副作用だったのです。
これを元に、薄毛の人へ向けた治療の為の研究が始まりアメリカ食品薬品局(FDA)の認可が下りた後、日本でも本格的に研究&臨床治療が始まり厚生労働省の認可が下りたのが2005年10月になります。

2005年日本で初めてAGA(男性型脱毛症)の進行を抑える薬(フィナステリド)は、「プロペシア」の名前で発売されました。その当時は、フィナステリドは高価な薬品で効果が分かっていても継続する事が難しく、治療できるのは富裕層か広告の為に起用された芸能人だけでしたね。
しかし、2015年にジェネリック薬品(特許が切れた医薬品を他社が作成したもの)が発売された事により、私たちにも手の届く治療となったわけです。それに伴いAGA治療専門のクリニックも増え、今では多くのAGA(男性型脱毛症)に関するテレビCM・広告をを見かけるようになったわけです。

よくあるAGAセルフチェック項目の問題点と4つの注意点
「簡単に出来るAGAセルフチェック」と言うのをよく見かけませんか?
≪セルフチェックのメリット≫
- 複数の質問項目に答えるだけで、簡単に出来ること
- 自分の悩みである薄毛を誰に見せる必要がないこと
- AGA(男性型脱毛症)は、早期発見・早期治療がカギ!
10項目に答えるだけ!3分で、あなたの薄毛の原因が分かる!もちろん簡単なのはありがたい事ですし、自分の悩みを少しでも解決したいと思う方に手っ取り早い手段でもあります。
しかし、よく見かけるAGAセルフチェックの項目には、いくつかの問題点があると感じています。以下、問題点と注意する事を4つにまとめましたので、AGAセルフチェックの前に読んで頂きたいと思います。

①あなたの両親・祖父母から薄毛家系か判断できますか?
AGAセルフチェックの項目では、
- あなたの先祖について尋ねる質問
- あなたの髪型の変化・抜け毛についての質問
- あなたの生活習慣についての質問
- あなたの体質についての質問
大まかに、このように分かれています。
AGA(男性型脱毛症)は、遺伝によるものが強いとされています。この事からも、母親の先祖家系に薄毛の人はいないか、父親の先祖家系に薄毛の人はいないか?を参考にするのはいいのですが・・・ここで、大きな問題点が浮き上がります。
薄毛が気になり始めたあなたが30歳後半だとしましょう。
↓
あなたの両親は、60代以上
↓
あなたのお爺さん・お婆さんは?・・・80歳以上
あなたの祖父母の年代になって、まだ髪がふさふさな方は珍しいのではないでしょうか?もちろん、なかには自分の家系は髪の毛には自信がある!と言う方もいらっしゃるでしょうし、ツルツルの家系だ!と言い切れるならとても分かりやすいです。
しかし、そうではない場合には注意が必要です。
なぜなら、祖父母を想像する時に彼らの若い時(30代、40代)を一瞬で思い出すのは難しく、昔の記憶をたどったとしてもせいぜい70歳くらいです。この年代になると、AGA(男性型脱毛症)の他に老化による薄毛の影響が考えられます。
AGA(男性型脱毛症)の特徴は、思春期以降に薄毛が進行していきます。個人差はありますが、発症しやすい年代は30~40代でありその頃に全く薄毛の気配がなく「60歳を過ぎてから髪全体が薄くなってきた」場合は、老化による影響も考えられます。
自分の祖父母を想像した時に、

②遺伝子を持っていても必ず発症するとは限らない!
AGA(男性型脱毛症)のセルフチェック方法として、自宅で出来る遺伝子検査キットがあります。遺伝子キットを購入して、スティックで口内の粘膜を採取し、郵送するだけです。結果には、AGA(男性型脱毛症)の可能性を細かく数字で表し、その他にもレベルに合わせた予防法やアドバイスが書かれてきます。
≪遺伝子キットのメリット≫
- 人にバレることなく結果が知れる
- AGAクリニックより費用が安い(¥12,000程度)
- 遺伝子は一生変わらないので、いつでも正確な情報が手に入る
- AGA(男性型脱毛症)の兆候がなくても、将来の予防ができる
セルフチェックは、自分で質問に答えるだけでなくこのような遺伝子キットを使った方法もあります。これは、その名の通り遺伝子によるものですので、自分がAGA(男性型脱毛症)の可能性を持っているのかを想像の範囲ではなく数値として知ることができます。AGAクリニックに行くほどではないけど、心配な方にとってはとても良い方法だと言えます。
しかし、ひとつ注意していただきたいのが・・・
③「YES」「NO」の2択では判断できないものに注意
AGA(男性型脱毛症)の主な原因は遺伝と男性ホルモンの影響です。
男性ホルモンは、『男性』と言う名がついていますが性別にかかわらず女性も持っているホルモンなのですが、男性の方が圧倒的に多く分泌されます。男性ホルモンは数種類ありますが、どれも主に男性の性器や体格、男性らしいヒゲや胸毛などに影響を与えるものです。
男性ホルモンは睾丸や副腎から分泌されますが、脳が指令を送り年齢や環境によって分泌する量を適切に保っています。よって、男性ホルモンは自分の生活環境や精神状態によっても分泌量が変わってくる事があります。
その為、AGAセルフチェックの項目には
- 最近ストレスを強く感じている
- 性欲が強い方である
- 睡眠時間が短い
上記のように、「YES」「NO」では判断しにくい項目があります。
例に挙げた『ストレス』に関しては、特にホルモンの分泌に多くかかわる項目ですがストレスの感じ方は個人で違いますし、自分では自覚症状のない場合もあります。
④セルフチェックはあくまでも、目安であることを認識!
『自分の髪の毛が薄くなってきたかも?』と心配している方にとって、いち早く解決方法を知りたいと思うのは当たり前です。自分の薄毛は、『病気ではない』ことを確かめて安心したいと思っている方もいらっしゃるでしょう。
成人男性の薄毛に悩んでいる方の90%は、AGA(男性型脱毛症)による毛髪の変化が原因です。
この事からも、今あなたが薄毛で悩んでいるのであればAGA(男性型脱毛症)である確率は多いにあります。誰でも、自分の身体の変化・衰えは認めたくないものですよね。最近では自分の年齢が定着する前に次の誕生日が来てしまうので、最近自分の年を聞かれてもすぐに答えられません。
しかし、どんなに悲しんでも月日は過ぎていくもので、私たちは年をとります。
薄毛に悩みつつも、自分をごまかしながら生活をしても、自分の薄毛と向かい合い原因を理解して行動に移すにも、月日の流れは変わりません。
AGA(男性型脱毛症)の場合、早期発見・早期治療で99%方が発毛の実感を報告しています。
正しい方法で治療を行えば、頭髪の悩み・薄毛の後ろめたさを感じることなく生活を送ることができるのです。その為に、AGAセルフチェックは自分と向き合う為にいい手段だと私は思います。ここで、一番大事な注意点になるのですが・・・
勘違いしないでいただきたいのは、『セルフチェックはあくまでも目安』であると言うことです。
項目には、
- あなたが薄毛の遺伝子を持っているか
- 抜け毛の様子について
- 生活習慣について
などがありますが、『自分がAGA(男性型脱毛症)なのではないか?』と言う強い疑いをもっていると、どの項目も自分にあてはまっているように感じてしまうものです。
あなたが風の噂で聞いた薄毛対策が、薄毛を悪化させることもあります。AGA(男性型脱毛症)だとかんじたら、正しい対策を行いましょう。
『正しい』AGAセルフチェック項目
自分の状況をいち早くチェックしたいと言う気持ちを抑え、ここまでしっかりと読んで頂いた方には本当に感謝をしています。
では、上記で説明したセルフチェックの4つの注意点をふまえながら、『正しい』AGAセルフチェックを始めていきましょう!通常のAGAセルフチェックのように、簡単な質問に「YES」「NO」で答える形式とはちょっと違います。しっかりと質問を読んで考えてみてください。
1:あなたがAGA遺伝子を持っている可能性をチェック
あなたの両親、母方の祖母、父方の祖母がAGA(男性型脱毛症)であった場合、あなたがAGA遺伝子を持っている可能性は高くなるわけです。
また、AGA(男性型脱毛症)は男性だけに起こる症状ではなく女性でも発症する事があります。
※女性の場合、FAGA=FemaleAndrogenetic Alopecia(女性男性型脱毛症)または、びまん性脱毛症と言います。
2:最近の抜け毛の本数をチェック
通常、健康な毛の場合でも1日で50~100本の抜け毛があります。1日を通しての抜け毛ですので、1度に抜ける抜け毛ではありません。
≪抜け毛のタイミングと本数目安≫
- 朝起きて枕に10本以上の抜け毛
- 髪の毛をブラシでといた時に10本以上の抜け毛
- 髪を触った時に、頻繁に感じる2本以上の抜け毛
- シャンプーの時の20本以上の抜け毛
3:髪質の変化をチェック
10代後半から20歳のあなたの髪質を思い出してください。思春期のあなたの一番健康な状態の髪質と最近の髪質を比較します。
≪髪質チェックの目安≫
- 思春期の時よりもハリがなくなった
- 思春期の時よりも髪の毛が細くなった
- 思春期の時よりも艶がなくなった
- 髪の毛をセットしても昔のようにいかない
4:抜け毛の状態・様子をチェック
通常の健康な状態でも、必ず「抜け毛」はあります。しかし、この抜け毛が必要な「抜け毛」なのかどうかが問題になるのです。
≪抜け毛の状態・様子の目安≫
- 抜け毛が短く・細い
- 抜け毛の毛根が黒い
5:薄毛が気になる部位をチェック
AGA(男性型脱毛症)には、薄毛になる部位に特徴があります。
- 頭のてっぺん(つむじ)頭頂部が薄くなってきた
- 額の生え際がM字のように薄くなってきた
- 生え際が全体的に薄くなって、おでこが広くなってきた
- 生え際と頭頂部の両方とも薄くなってきた
6:頭皮に皮脂が溜まっていないかチェック
頭皮に皮脂が溜まっていると、髪の毛の育成・発育に悪い環境を与えている事になります。
≪頭皮の皮脂の目安≫
- 夜寝る前にシャンプーしても朝起きると頭皮がべとつく
- 1日激しい運動をしたわけでもないのに、午後になると髪の毛が濡れたように見える
- 頭皮がかゆい、フケが多く目視できる
7:ストレスによる男性ホルモンの乱れをチェック
過剰のストレスを感じると、男性ホルモンが正常に分泌されない事があります。精神的ストレスは、時分でも見逃してしまう事があるものですし、人と比較することが難しいのであなたの環境の変化と共に確認していきましょう
≪ストレスを感じやすい環境・状況の目安≫
- 新しい職場に移り、慣れない環境にある
- 仕事の量が増え、同僚・上司とのトラブルが増えた
- 異性関係で上手くいかなく、悩むことが増えた
- 妻との喧嘩が多くなり、家に帰りたくないと思うことがある
- 悩みばかりを考え、楽しいと思えることが少なくなった
8:睡眠不足による男性ホルモンの乱れをチェック
人間の身体は、夜寝ている間に身体の中で様々な調整が行われます。髪の毛はタンパク質で出来ており、夜寝ている間に成長ホルモンによって健康な髪の毛が作られます。
成人に必要な時間は、8時間と言われていますが働き盛りの成人男性が1日の3分の1の時間を睡眠時間に費やせるほど日本社会は甘くはありま選よね。理想は8時間ですが、実際の日本全国の成人男性の睡眠平均時間は、6.5~7.4時間と言われています。
この平均時間を基準に、あなたは睡眠時間が極端に短いですが?
9:ヘビースモーカーであるかチェック
喫煙は、健康に大きなダメージを与えることは皆さんご存知だと思います。薄毛と喫煙にも深い関係があります。
- 喫煙により血流の悪化
- 喫煙により男性ホルモンの増加
- 喫煙により頭皮の乾燥
- 喫煙によりタンパク質の分解
10:食生活、お酒の量をチェック
暴飲・暴食は、身体にも髪の毛にも良くありません。私たちの大事な臓器「肝臓」は、アルコールを分解する働きとタンパク質を合成する働きがあります。髪の毛はタンパク質からできているのですが、アルコールを多量に摂取すると肝臓が必要なたんぱく質を合成する事が出来なくなってしまうのです。
その他にも、多量のアルコール摂取は男性ホルモンの増加や暴食につながるなどのデメリットがあります。食生活では、野菜・肉・穀物等バランスの良い食生活が理想です。
≪食生活・飲酒の目安≫
- コンビニ食やお菓子等で食事を済ませることが多い
- 揚げ物・肉・ファーストフードが好みで野菜は食べない
- コーヒーを1日3杯以上飲む
- ほぼ毎日、ビール1~2杯は飲む
- お酒が好きで、毎日ではないが頻繁にビール3杯以上飲む
セルフチェックの判断方法
上記のセルフチャック項目2~5は、あなたの髪の毛の現状を問う項目でした。この項目の中で、2つ以上当てはまるものがあればあなたがAGA(男性型脱毛症)である確率はとても高いです。
また項目の2~5の項目に、ひとつも当てはまらないようであれば現状AGA(男性型脱毛症)を発症していない状態だと言えます。
さらに、項目6~10はAGA(男性型脱毛症)になりやすい環境である事をチェックできます。現在発症していなくても、項目6~10に当てはまる数が多い場合は今後の注意が必要です。
AGAセルフチェックと注意点【まとめ】
いかがでしたか?
簡単に出来るAGAセルフチェックが増えてきていますが、時分で判断がしにくいものや悩んでいるとそうでなくても自分がAGA(男性型脱毛症)だと勘違いしてしまうこともあります。セルフチェックはあくまでも、目安であることを頭に入れて冷静に行ってみてください。
また育毛剤・育毛シャンプーなどは、医科学的な根拠がない事がはっきりしています。育毛剤などには、頭皮を痛める刺激物が入っている事もあり誤った自己判断・対処法で薄毛を悪化させてしまうことがあります。少しでもAGA(男性型脱毛症)の可能性があると感じた方は、医師の指導による正しい治療で自分の髪の毛を健康なものに取り戻しましょう。AGA(男性型脱毛症)である場合は、早期治療が自分の将来の髪の毛を左右する事になります。
あなたの悩みが少しでも解消されれば幸いです。