加齢とともにスキンケアを変えるのは、多くの女性が共感することでしょう。髪も皮膚の一部なので、同じように年齢に合わせたエイジングケアが必要です。
髪の老化は、30歳以降から始まるとされています。特に老化を自覚する変化といえば、抜け毛の増加ではないでしょうか?
私自身、20代までは美容院で「髪が多い」と言われていたのに、加齢と共に言われなくなって変化を痛感したことがあります。もちろん、日々のブラッシングによる抜け毛の増加も見逃せません。
抜け毛や薄毛のケア方法といえば、育毛剤と発毛剤があります。
しかし育毛剤と発毛剤は成分や効果などが全く異なるため、これらの違いを理解して使用することが大切です。
30代以降で抜け毛や薄毛が気になりだした女性は、ぜひ正しい方法で髪のエイジングケアを始めましょう。
【もくじ】
【育毛剤と発毛剤】女性の薄毛対策
育毛剤や発毛剤は数多くの市販品がありますが、使い方を誤ると、かえって髪や頭皮にトラブルを引き起こし、抜け毛や薄毛を悪化させるおそれがあります。2つの違いを理解しておくことは大切です。
育毛剤と発毛剤の違い
育毛剤と発毛剤は、使用目的による分類が異なります。育毛剤は「医薬部外品」であり、発毛剤は「医薬品」です。
- 育毛剤(医薬部外品)‥抜け毛の予防・育毛が目的
- 発毛剤(医薬品)‥抜け毛の治療が目的
医薬品である発毛剤は厚生労働省が認める成分を配合しているため、より高い効果・効能を期待することができます。しかし薬なので、副作用があることも忘れてはいけません。
一方で育毛剤に含まれる有効成分は、商品によってさまざまです。そのため育毛剤は発毛剤に比べて効き目がおだやかになりますが、副作用の心配は少なくなります。
女性の薄毛は男性よりも複雑!
男性の薄毛は、男性ホルモンに起因するAGA(男性型脱毛症)が原因であることがほとんどです。しかし女性の薄毛は原因がさまざまで、代表的なものだけでもこれだけ挙がります。
- びまん性脱毛症
- FAGA(女性版のAGA)
- 分娩後脱毛症(産後に起こる抜け毛・薄毛)
- 牽引性脱毛症(髪を縛る髪型による抜け毛・薄毛)
びまん性脱毛症とは、老化や生活習慣など複数の要因が重なって起こる抜け毛や薄毛のことです。
しかし老化や生活習慣はほかの脱毛症にも影響を与えるため、ひとつの脱毛症が原因で抜け毛が増えていると断言することは困難です。
育毛剤と発毛剤は薄毛の原因で使い分ける必要あり
「発毛剤の方が効果が強いのであれば、どの原因であっても発毛剤を選べば良いのでは?」と、考える女性もいるかもしれません。
しかし、発毛剤は特定の症状を治す医薬品なので、すべての薄毛に効果を発揮するわけではありません。 また抜け毛の程度によっては、育毛剤でも十分な効果を実感できる可能性があります。
私は抜け毛の増加に悩んだとき、育毛剤を選んで今でも満足して使っています。育毛剤の方が副作用のリスクを減らせるという点も、私には大きなメリットです。
では、自分は育毛剤と発毛剤のどちらを選べば良いのか?その目安を次の章から解説します。
育毛剤で女性の薄毛を予防する
ここでは、育毛剤の使用が向いてる人や市販の育毛剤の選び方について解説します。
育毛剤が向いている女性
育毛剤が特に向いているのは、髪のエイジングサインが出始めた女性、そして頭皮環境を改善したい女性です。
育毛剤が頭皮状態を改善して、抜けにくい髪を育てる環境を作ります。
薄毛の問題がそれほど深刻でなければ、育毛剤だけで十分なケアが可能です。次のような傾向が女性は、早めに育毛剤を使うことで薄毛を予防しましょう。
- 髪が細くなった
- シャンプー中の抜け毛が増えた
- これまでのヘアケアでは髪のパサつきを改善できない
- 髪が乾燥して、うねりが出るようになった
- 髪全体のボリュームがなくなってきた
- 頭皮が乾燥して、かゆみや赤みが出ている
- 頭皮を揉んだとき、固いと感じる
ちなみに私は、髪にまとまりがなくなり、表面にうねった髪が出てくるようになってエイジングサインに気付きました。早めに育毛剤を使い始めて良かったと思います。
市販の育毛剤を買うときの注意点
市販されている育毛剤の成分は商品によって異なるので、購入前にはどんな成分が使われているかを確認することが大切です。育毛剤の多くは髪に必要な栄養を運ぶため、頭皮の血行を促進する成分が含まれています。代表的なのは、センブリエキスや酢酸トコフェロールです。
これにプラスアルファでどんな成分が配合されているかに注目すると、自分の悩みに合った育毛剤を見つけることができます。
悩み別に代表的な成分を紹介します。
- 髪が細い、パサつく(ヒオウギ抽出物、アミノ酸など)
- 髪に美容成分を補給したい(海藻エキス、生薬エキスなど)
- 頭皮が乾燥してかゆい(グリチルリチン酸2Kなど)
- 頭皮を清潔に保ちたい(サリチル酸など)
また育毛剤を選ぶときは、スプレータイプか液体タイプかも確認しましょう。
スプレータイプは爽快感がありますが、スプレー液が髪を固めることがあり、翌朝のブローに苦労することがあります。一方の液体タイプは髪を固める心配が少ないものの、使用中に液だれすることがあります。
発毛剤で女性の薄毛を治療する基準
薄毛の問題が深刻になり、頭部の地肌が見え始めたら、発毛剤の使用も検討しましょう。
ただし、市販されている女性用の発毛剤は大正製薬による「リアップジェンヌ」1点のみです。
また、女性用発毛剤は使用できるケースが限られるので注意しましょう。
女性用の発毛剤に含まれる有効成分
日本皮膚科学会のガイドラインでは、男性のAGAにはフィナステリドやミノキシジルなど複数の有効成分が使用できると認めています。
しかし女性版のAGA(FAGA)には、ミノキシジルの使用しか認めていません。
リアップジェンヌに使われている有効成分も、当然ながらミノキシジルです。
ミノキシジルとは、もともと高血圧治療の薬に使われていた成分です。しかし薬を飲んでいた患者に毛深くなる人がいたことから、やがて発毛剤の成分として使われるようになりました。
ミノキシジルには次の働きが期待できることから、発毛効果が認められてます。
- ヘアサイクルを整える
- 髪の根元にある毛母細胞に働きかけ、髪の成長を促す
- 頭皮の血行を促す
- 髪の本数を増やす
- 細くて弱々しい髪を丈夫にする
育毛剤と同じくミノキシジルの発毛剤も効果を得るまでには時間がかかります。
リアップジェンヌで効果を得るには、最低でも6か月間、毎日使用する必要があります。ミノキシジルが効き始めたら、髪が太くなる、産毛が増える、細く短い抜け毛が減るといった傾向が出てきます。
女性用発毛剤が効果を発揮するケース
市販されている唯一の女性用発毛剤「リアップジェンヌ」が効果を発揮するのは、壮年性脱毛症の場合のみです。
分娩後脱毛症や牽引性脱毛症には使えないことは、明記されています。
壮年性脱毛症とは、FAGAの中でも年齢が中高年の場合を指します。そのため、リアップジェンヌは20歳未満は使用することができません。
女性が壮年性脱毛症である場合、全体的に髪が薄くなるか、頭頂部から薄毛が目立つようになるのが特徴です。また、髪が細くなるといったエイジングサインも見られます。
男性がAGAになった場合はM字ハゲのように生え際の後退も起こりますが、女性には少ないとされています。
しかし薄毛の箇所や髪の状態だけでは、自分がFAGAか確信を持つのは難しいでしょう。自分だけで薄毛の原因を特定できない場合は、ヘアクリニックで診断してもらうのが賢明です。
発毛剤の副作用や使用上の注意点
ミノキシジルを含む発毛剤を使った場合、次のような副作用が起こることがあります。
- 頭皮のかゆみ、発疹、かぶれなど
- 頭皮およびその他の皮膚が赤くなる
- 頭痛やめまい、胸痛、むくみなど
発毛剤を使った結果、副作用の疑いがある症状が出た場合は、使用を中止して皮膚科を受診してください。
副作用のリスクを減らすためにも、甲状腺機能障害といった持病がある人や高血圧・低血圧の人は、購入前に医師や薬剤師に相談しましょう。
持病によっては病気が原因で薄毛になっていることがあり、その際はかかりつけ医のもとでの薄毛治療が必要になります。
まとめ
発毛剤と育毛剤の併用は認められていないため、自分にはどちらが適しているか、髪や頭皮としっかり向き合って判断しましょう。育毛剤を使用する場合は、有効成分のほか口コミで使用感も確認すると良いでしょう。発毛剤の使用に不安や不明点がある場合は、薬剤師に相談してから購入を検討してください。
そして、育毛剤も発毛剤も効果が出るまでに時間がかかります。薄毛対策は継続が大事だということを忘れずに、ヘアケアを続けてくださいね。